肝機能異常~原発性胆汁性胆管炎(PBC)について
こんにちは!
今回は、慢性の自己免疫性肝疾患である原発性胆汁性胆管炎について説明します。
肝臓は院長の専門分野であり、肝臓は腹部エコーや採血で検査ができますので、
気になった方はいつでもご連絡頂けたらと思います。
原発性胆汁性胆管炎(PBC)
胆汁うっ滞(胆汁の流れが停滞した状態)を生じる慢性の肝臓病です。
脂肪の消化・吸収を促進する胆汁は、肝細胞で作られ胆管内へ分泌され、胆のうに蓄えられます。
胆管細胞の構造が破壊されると胆汁分泌が障害され、
肝臓内に胆汁成分がたまって肝障害を引き起こします。
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原因
自己免疫的機序(異物を排除する免疫系が自身の細胞や組織を攻撃してしまう現象)が考えられていますが、明らかではありません。
病名に付いている「原発性」とは、原因が分からないという意味です。
中年以後の女性に多く、慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群などの自己免疫性疾患や膠原病を合併しやすいのが特徴です。
長年の胆汁うっ滞によって肝細胞障害と線維化(線維成分が増えて肝臓が硬くなる)が進み、最後には肝硬変や肝不全にまで進展します。
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症状
肝障害による自他覚症状(患者さん自身が分かる症状や医師が客観的に把握できる症状)がない
「無症候性PBC(asymptomatic PBC:aPBC)」と、
自他覚症状がある
「症候性PBC(symptomatic PBC:sPBC)」に分類されます。
肝障害による自他覚症状は、黄疸、皮膚掻痒感(かゆみ)、食道静脈瘤・胃静脈瘤、腹水、肝性脳症などです。
無症候性PBCは、明らかな自他覚症状がない限り予後は大変よいですが、それでも5年間で約20~30%が症候性PBCに移行するとされています。症候性PBCになって黄疸が出るようになると病気の進行を止めにくく予後不良で、5年生存率は血清ビリルビン値(T.Bil=黄疸の程度を示す値)が2.0mg/dlでは60%、8.0mg/dl以上では35%に低下するとの報告があります。
また、PBCでは門脈(胃腸などの血液を肝臓へ運ぶ太い静脈)域を中心に肝臓組織の破壊や線維化が進みます。そのため、他の肝臓病と比べて病気の早い時期から、食道静脈瘤や胃静脈瘤などの「門脈圧亢進症」が生じやすいのが特徴です。症候性PBCの死因のほとんどは、食道静脈瘤や胃静脈瘤からの出血と肝不全です。
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検査
腹部エコー・血液検査・肝生検で典型的なPBCでは、胆汁うっ滞の症状である皮膚掻痒感を生じるため、診断の参考とします。
血液検査では胆道系酵素(ALP・γ-GTP)、抗ミトコンドリア抗体(AMA)、免疫グロブリンM(IgM)が高値を示します。
可能であれば肝生検をして、肝臓の組織所見から慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)の像あるいは胆管消失が確認できれば診断が確定します。肝生検は病院を紹介させて頂きます。
肝機能が安定していても年に数回以上の血液検査、半年に一度の腹部エコーやCT検査をしながら経過観察をする必要があります。
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治療法
肝臓病治療薬として広く使用されているウルソデオキシコール酸が第1選択薬で、初期の段階から投与されます。
ウルソデオキシコール酸は胆汁酸成分の一種で胆汁分泌促進作用、免疫調整作用などがあります。
患者さんに投与すると、明らかな胆道系酵素(特にγ-GTP)の低下がみられ、病気の進展が抑制されるなど特効的な有効性が認められています。ウルソデオキシコール酸の効果が現れない場合には、脂質異常症の治療薬であるベザフィブラートが併用されます。治療薬のウルソデオキシコール酸やベザフィブラートは病気の進行をある程度おさえることができるので、長年にわたって確実に服用し続けることが大切です。
なお、PBCは原因不明で根本的な治療ができないことから、厚生労働省が症候性PBCを特定疾患に指定して、医療費助成を行なっています。
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どのように経過をたどるのか
ウルソデオキシコール酸が使用されるようになってから、原発性胆汁性胆管炎(PBC)の経過は明らかに改善しました。
ほとんど症状のない 無症候性 PBCの患者さんでは、これらの薬を飲み続けていただくことによって、病気のない方と同じく日常生活を送ることができるようになっています。
ウルソデオキシコール酸の効果が十分でない場合でも、上記のようにベザフィブラートを併用することによって、病気が進行し悪化してしまうことはかなり少なくなっています。
定期的な検査が重要になりますので、通いやすいようにオンライン診療にもできます。
ご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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